【放課後特別講座②】仏教的ストレス解消術お教えします【YouTuber僧侶今小路覚淳さん講演】
洛陽総合高校では、放課後特別講座を行なっています。放課後に様々なジャンルのレクチャーや講義を聞くことで、生徒が変わっていく「きっかけ」作りに繋げようという取り組みです。
今回は「今を生きる方法」を主題として僧侶の今小路覚淳(いまこうじ かくじゅん)さんにご講演いただきました。
さて、世の中生きていると当然避けられないないものがあります。
そう。
こいつです。
そもそもストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことで、身体が原因であったり、人間関係が原因であったり、環境が原因であったりとどのような状況からでも起こり得ます。
つまりストレスからは逃げきれない・・・。ならそのストレスと付き合う方法を考えようということで本日の本題となります。
今小路さんは、富山の富山常楽寺住職、大阪の刀根山御坊常楽寺住職、そして京都の常楽臺 副住職を務められていますがそれだけではありません。
今小路さんはオンライン常楽寺ということで、ご本人のFacebookアカウントとYouTubeチャンネルを設立していらっしゃいます。
今回はそんな今小路さんに、生徒、教師問わずに様々な質問をいたしました。その一部をQ &A形式でふりかえってみましょう。今回はその内容を抜粋して報告をしたいと思います。
Q ー若者の自殺者が増えていることについてどうお考えですか?
Aー僧侶の力不足でもあると考えています。というのも駆け込み寺という言葉があるように、昔は居場所が無くなったりだとか、どうしようもない時は、寺に駆け込む習慣がありました。しかし、今は神社仏閣そのものが敷居が高いように感じさせるところになっていると思います。そういう意味での僧侶の力不足とも考えておりますし、もっと私たちを頼って欲しいと考えています。
Qー物事がうまく行かずやる気がなくなってしまった時や、ストレスを抱えてしまった時にどうしたらいいか教えてくれますか?
Aー思い通りにしたいという欲を抱えて生きているのが人間です。ですから、思い通りいかず、気持ちがブレてしまうことは人間にとっては「当たり前」なことであると思いましょう。ただマインドリセットのコツはあります。
PCOPという元はアメリカの軍人を対象に開発された危機対応プランがあります。軍人さんはどうしても人の生死と向き合わなければならないので、トラウマ、フラッシュバックが起こることが多々あります。その中で生まれた心理的危機対応プランがPCOPです。
※PCOPについてはこちらのページをご覧ください。
このPCOPではストレスはその場その場で解消した方がいいと言われています。そしてストレスを発散する手段をいくつか持っておき、それを「ストレスを解消するためにやっている」と意識的に行うことが重要です。スポーツや、深呼吸、読書、趣味なんでもいいので、それを複数持つことがおすすめです。
Qー心の平穏はどうやったら保てますか?
AーPCOPを意識しつつ、ストレスを溜めず、感情を吐露することも大事だと思います。特に、自分の気持ちをただ聞いてくれる人がいれば良いと思います。自分の考えが正しいと押し付けるコミュニティが世の中にはどうしても多いです。ですから、自分を否定しない人を探すことは大切であると思います。そういう意味では我々僧侶は一つの選択肢にはなるのかな、と思います。
あとは、どうしてもダメな時は「何をすればいいか」というメモをお守りのように持っておくのも心を保つためには有効な手段だと私は考えます。
とても単純ですが大きな声で叫ぶことも一つの対処法です。ただ、普通にそれをやってしまっては迷惑になってしまうので、車の免許などを取られた後に、車内でやるのがいいかと思います(笑)
Qー我々は何のために生きているのでしょうか?
Aー仏教的な考えでは答えはありません。というのも仏教では仏になるのが目的なので、自分だけの命ではなく因縁というこれまでの命の繋がりから生かされているという思考を持っています。ですから何のために生きているという答えを持たないのです。だからこそ、ここからは私の考えですが、何のためにではなく、こうするべきだという拘りを持たず、自然な形で生き方を自由に、ゆっくりと探すことが良いと思います。
Qー“天国と地獄があって、それとは別にこの世がある”という考えが主流だが、実はこの世が地獄ではないか?
Aー仏教的な考えでは見方によってはその通りであるといえます。というのも仏教では世界は心の流れそのものだと考えます。つまり天国であれば天国、地獄であれば地獄と、心次第で世界の姿も変わってきます。
Qー延命を望まない安楽死についてどうお考えですか?
Aー根深い問題です。臓器移植もかつては議題に上がっていました。今ではドナー移植など広く認められていますが宗教的側面においては、2、30年前は安楽死と同じくらい重要なテーマとして考えられていました。しかし、遠い未来においてはドナー移植が認められたように、安楽死ももしかしたら認められる時代がやってくるのかもしれません。
Qー他人に優しく自分に厳しくすることが美徳とはされていますが、他人に対して優しくするとどうしても見返りを求めてしまう欲が出てしまいます。どうすればいいでしょうか?
Aー少なからず自己犠牲の精神があると人は見返りを求めてしまいます。だから「やりたいからやっている」というメンタルを持つことと「人のためにではなく自分のためにしている」と気持ちを持つことが良いと思います。
他にも仏教の死生観に対する質問や、神仏習合についての質問。浦島太郎の感覚を味わうためにはにはどうしたらいいかなどの質問もありました。そして最後に、今小路先生から生徒たちにこのようなメッセージをいただきました。
「悩むことは決して悪いことではありません。悩むべき時は悩まなければ人の痛みに寄り添えませんが、解決には一足飛びの解決法はありません。欲が新しい欲を生むように、思い通りに行く人生も再び苦しみを生んでいきます。また拘りは諸刃の刃で、自分自身の視野を狭め苦しめてしまうこともあります」
「だからこそ、悩んだ時は「なぜ」を考え、本当にそれに拘るべきかを考えることが大切だともいます。そして自立という言葉はありますが、人間は1人では生きてはいけません。だからこそ、人は繋がりの中で生きていると意識してください。何かあれば信頼できる人や、私どもに頼ってもらえれば、と思います」
生徒も「生きる事って難しいし、悩まないとけない。けれども息抜きも大切だ、という当たり前のこと思い出させてくれた」「仏教的な考え方は、すごく人生の役に立つんだなと思った」「日々の悩み事や辛いことに対してどのような気持ちで向き合えばいいかが分かった」「悩みや、情報に惑わされすぎずに、自分に耳を傾けてみるという考えが理解できた」と刺激を受けたようでした。
今小路さん、貴重なお時間をありがとうございました!
◆関連URL
今小路覚淳さんのFacebookページはこちらから
https://www.facebook.com/imakouji
YouTubeチャンネルからも様々な活動の様子をご覧いただけます
自己紹介動画はこちから
https://www.youtube.com/watch?v=aLhY7nGjKE8
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